【理系資格の最高峰の一つ】技術士二次試験建設部門の勉強法

合格 資格

この記事を書こうと思ったきっかけ

書いている人の情報

私は令和3年度に技術士の二次試験建設部門鋼構造・鉄筋コンクリートを受験して落ちました。

結果は必須B、選択Ⅰ・ⅡA、選択ⅢB、選択Bでした。

ある程度技術士試験に対して知識がある方はこれで結果の程度が分かると思います。

数年前から技術士に興味はあったのですが資格に対する熱が冷めていて今年ようやく受験に至りました。

書こうと思ったきっかけ

受験を決めてからどうやって勉強していくか戦略を立てる過程で、合格までの落とし穴(私はまだ合格していませんが笑)がいくつかあるにも拘わらず調べて理解するのにかなりの時間を要しました。

また高額な有料スクールと個人の有料採点が数多くありかなり路頭に迷ったのでこれから技術士試験の受験を考えている方の参考になればと思いこの合格していないにも関わらずこの記事を書こうと思いました。

一言断りをさせていただくと、私自身の最後の仕上げの部分が出来ていないと感じている点と不合格者の記事であるということをご理解いただけると幸いです。

技術士試験の概要

概要

試験の概要と合格率・受験資格

技術士試験は結構複雑です。

簡単に説明しますが、詳しく知りたい方は日本技術士のHPを参照ください。

大きくは一次試験と二次試験があり、一次試験に合格すれば「技術士補」となり、二次試験に合格して「技術士」となります。

また技術士のカテゴリーは○○部門○○といった形で大まかな分野+更に細かい分野に分かれています。

私の場合で行くと建設部門鋼構造及びコンクリートで受験しました。

部門ごとに受験生の数にかなりばらつきがあり、建設部門が圧倒的に数が多いです。

合格率も分野ごとにばらつきがありますが、大まかに一次試験40%、二次試験10%程度です。

各分野の正確な合格率を知りたい方はアガルートさんのページを見てみてください。

受験資格もちょっと複雑です。

ざっくり言うと一次試験は誰でも受験出来て、二次試験は一次試験を合格もしくは指定された教育コースを受講した上で最短4年、最長7年の実務経験があれば受験できます。

詳しくは日本技術会のHPを参照ください。

技術士試験の価値

技術士試験は一般的には難しめの試験だと認識されています。

それだけの苦労をして資格取得後どんな恩恵が得られるのでしょうか。

「技術士」の独占業務はありません。

なので直接的な恩恵は少ないです。

私は(まだ!)「技術士」でもないですし、周りに「技術士」資格を活用して活動している人のいないので実感を持っては話せませんが、イメージでは初対面の人に対してある程度信頼してもらえる、というところだと思います。

一般的に「技術士」という資格が浸透しているわけではないと思います。

専門分野の仕事をしていく上での名刺代わりといったイメージでしょうか。

特に専門分野に関して専門性が高く、特にコンサル業務をやる方にとっては割と必須の資格だと思います。

一次試験

一次試験は選択式のペーパーテストです。

構成は「基礎科目(15問)」+「適正科目(15問)」+「専門科目(25問)」です。

各科目50%以上正解できれば合格です。

全部選択問題です。

私の場合は受験したのが7年ほど前なのでどこまで当時の勉強法が通用するかわかりませんが、ひたすら過去問を解きました。

基礎科目は30問から15問の選択、専門科目は35問からら25問の選択なので分かる問題を解ければよいという感じです。

完全独学で過去問だけで一次試験は一発合格することが出来ました。

二次試験

現在の二次試験は論述式の記述試験と口頭試験です。

聞いただけで嫌になりますね笑

技術士二次試験の形式はコロコロ変わっていて今はこの形です。

論述式は選択した「○○部門」ごとの「必須科目」と選択したより詳細な専門分野毎の「選択科目」に分かれます。

「必須科目」は2時間で600字詰めの回答用紙3枚を手書きで書き切る必要があります。

「選択科目」はⅠ・Ⅱ・Ⅲに分かれています。

3時間半で600字詰めの回答用紙Ⅰが1枚、Ⅱが2枚、Ⅲが3枚を手書きで書き切る必要があります。

採点してもらえるように回答を書き切るには考える時間1に対して文字を書く時間が3ぐらいになります。

ここで「必須科目」、「選択科目」それぞれA評価をもらえると晴れて筆記試験合格となり、口頭試験に進めます。

口頭試験は私は未受験なのですが、20分程度の面接になります。

詳しくは後述しますが、ここで受験申込書が使われます。落とし穴です。

「口頭試験」の合格率は90%程度あるので技術士二次試験の難しさは「筆記試験」にあります。

「口頭試験」も10人に1人は落ちる試験であり、口頭試験のという形式が緊張を誘う上に落ちると再度筆記試験から受けないといけないプレッシャーもあります。

本当に一筋縄ではいかない試験です。

合格するための戦略

進歩

偉そうに不合格の私が書いてみます。

自分なりにこの点が足りなかったと思っているのでその点も合わせて書くので参考にしていただければと思います。

試験全体のうち抑えるべきポイント

現行の技術士試験は全て記述式です。

過去には選択式のものがあったり、「総合技術監理部門」には選択式も残っていますが、ここでは各分野の試験を対象にして書いてみたいと思います。

専門分野が細分化されているとは言え受験者のバックグラウンドは非常に広いです。

例えば私が受験している建設部門の鋼構造及びコンクリートでも私は建物の構造設計をしていますが、土木系の設計・研究・工事管理をしている方もいれば構造物の維持管理をやっている方ももちろんます。

そんな中で同じ問題を解いて合格・不合格を決めています。

点数を付けて合否を決める以上何か基準が必要なのは明らかです。

まして、かなり幅広い回答がある中で点数を付けるため割と抽象度が高めで回答に求められる要素があると考えるのが妥当だと思います。(自分が採点すると仮定したときにどうやって合格者を決めるか想像してみてください。)

そんな試験形態もありつつ、私が重要と考えることはまず第一にどんな回答を書けば合格できるのかというラインを理解することです。

私はこれが出来ていなかったと非常に強く感じています。反省点です。

第二に自分の知識経験を問題の回答に落とし込む準備作業です。

最後は時間内に合格ラインを超える回答の構成をし、実際に書ききれるだけの練習をすることです。

時間切れで回答欄が埋まらなければ採点するまでもなく不合格になるのは確実です。

時間設定はかなりシビアなのでしっかり時間の割合を決めていないと回答を完成させることができません。

一つ一つ具体的に書いていきたいと思います。

合格ラインを自分なりに持つことの重要性

技術士試験に求められる回答の形

私は正直言って正確な理解が出来ていませんでしたし、今もできていません。

そんな状況で書くのは気が引けますが出来ているところと出来ていないところを書いてみたいと思います。

回答の分量は足りているのは大前提として、最初に超えなくてはいけないハードルは「問題文で問われていることに確実に回答する」です。

技術士の問題文は結構長いです。

ただ、問題で問われることは過去問と似ていることが多いのですが、ありがちなミスが、長い回答を書いているといつの間にか関係ない自分の経験等を書いてしますパターンです。

この点は回答を書き始める前の構成を考える時点で問題文に対してこう答えるということを決めておかないといけません。

ここを外すと当然問われていることに答えていないわけですから内容がどれだけ素晴らしくても合格は出来ないと思います。

ここをクリアして初めて具体的な内容に踏み込んでいけます。

どのような内容の回答が合格できるのか

内容面の合格ラインを私は自分の中で確信をもって理解できていないと思っています。

重要と考えている点が二つあって、一つは内容が論理的で間違っていないこと、二つ目が内容が専門的な知識に裏付けされていることです。

私は一つ目を大切に考えています。二つ目は問題に対して自信をもって回答できる内容があれば入れようと考えていました。

一つ目は例えば「地球温暖化対策としてCO2の削減が課題であり、プラスチックのリサイクルを推進してCO2削減に貢献した」という文章があったとして、恐らくそれは非論理的だとか、間違っているとは言われないと思います。(地球温暖化の原因がCO2なのか?みたいなのはとりあえず置いておいて一般的に共通認識を得られていれば良いとしています。)

でも当たり前すぎて専門家でなくてもその辺の中学生でも答えられそうな内容だとは思いませんか。

そこで二つ目の要素を入れて「地球温暖化対策としてCO2の削減が課題であり、コンクリート中にCO2を固定することでCO2削減に貢献した」と書けばちょっと専門家っぽさが増しますよね。

ただ全ての問題に対して素晴らしい専門家的な回答はかなり困難です。

なのでベースは一つ目の要素だけ入れ、減点できないような回答(加点もできないかもしれないが)を基本として入れられるところで二つ目の要素を入れて回答を作成しようというのが私の作戦でした。

採点結果は共通と選択ⅢでBだったので何かが不足していたのだと思います。

私に足りていなかったのは合格する回答の内容として盛り込まなければないけない要素が正確に理解できていなかった点だと考えています。

第三者による評価の重要性

私はこれが足りていなかったと感じます。

書籍やネット上でA評価の回答を読むことはできますが、それだけでA評価の論文が書けるようになるかというと非常に難しいです。

一番良いのは特に最近試験を受けて合格した技術士に採点してもらうことです。

一人で不安にかられながら勉強するより確実に効率的です。

お金がかかることが多いですが非常に大切です。

安定した回答が出来るように記述の型を固める

記述の型を持つ

技術士の問題は題材が幅広いので回答を準備していたとしてもうまくカスタマイズしなくてはいけません。

色んな題材に対して合格点を安定して取れるように、また記述の時間を短縮するためにも記述に型を持つ方が良いと考えています。

技術士の問題はここ数年のパターンは決まっていて、社会課題に対して課題の抽出→重要課題の選定→解決策の提案→解決策の副産物を書いていく流れです。

回答を書くためにはまずは構成が分かりやすく、読みやすく、問題文にきちんと答えていますよというアピールが大切です。

論文に近いような論理的で科学的な文章なので、小説的な読んでいて楽しいとかの要素は基本的には必要なく、論理的な文章の型にはめ込んでいけば良いと考えています。

例えば、最初に見出しを付けて、現状が○○であるため、○○という理由から○○を提案します。これによって○○の効果が想定できます。

みたいな形です。

問題数と回答欄から事前にどの問題に対してどの程度の量を書いて、と割り振っていくと一つの項目に割ける文章量が決まってくるので使える量に対して型をはめ込んで全体の文章をバランス良く構成していくイメージです。

ネタ≒想定回答を準備しておく

時間制限があるためにその場で考えて回答を1から作成することはよっぽどすごい人でないと不可能です。

事前にネタ準備は間違いなく必要です。

ただバリエーションがありすぎますし、問題予想を的中させることはできないので過去問に対して想定回答を作成するのは最低限必要だと思います。

事前に準備した回答をそのまま回答として書くことはおそらくできません。

用意したネタのエッセンスを問題に合わせて加工して回答を書く+全然わからないところは面白みはないが誰も文句が言えない一般論でお茶を濁す、が良いと思います。

ネタは何個もあっても当日悩んでしまうだけなので数個あればよいと思います。

困ったときに逃げられるネタの暗記と自分だからこそ書けるネタを準備することが重要だと考えます。

これはかなり個人差が出ると思います。

当日加工する技術は個人差がありますし、そもそものバックグラウンドが異なるのでここまでやれば大丈夫というところはありません。

ネタ自身は当たり前のことでも切り口が新鮮で素晴らしければ(採点官に受ければ)十分です。

どちらかと画期的な新技術を面白おかしく書くより、内容は当たり前でも課題の認識とそれに対する解決策について確実に書いた方が評価は良いと思います。

試験時間の使い方

試験時間は長いですが、とても短くて書き切ったことには時間いっぱいいっぱいになっていると思います。

時間配分を事前に決めておく必要があります。

まずは自分が物理的に記述するのにかかる時間を理解してください。

そこに見直しや余裕をみた時間を足して、残った時間が問題文を読んで構成を考える時間になります。

構成段階で仕上げるレベルはそれこそ人それぞれですがそれはしっかり練習をして自分なりに掴んでください。

言えることは時間がないからと言っていきなり書き始めても普通の人はまず合格レベルの回答は書けないということです。

書きながら考えると書き直しやいつの間にか関係ないことを書いてしまったり、文章全体で論理が通っていなかったりします。

特に時間制限を意識して一心不乱に文字を書いていて、いざ見直すと大体あれやこれや直したいところが出てきます。

実際に今の記事を書いている時も構成を考えて書き始めましたが途中で足したり引いたり順番を変えたりしています。

試験は手書きなのでコピペは出来ませんし、書き直しは致命的です。

口頭試験

筆記試験に合格できれば口頭試験に進めます。

口頭試験自体は20分くらいの面接のようなのですが、面接官の方が質問の材料として申し込み時に提出した業務経歴書を使用されます。

私の口頭試験に対する理解は「技術士」にふさわしい業務を行っていて技術士に必要な資質を有しているかを確認している、です。

なので申し込み時の業務経歴書の内容が「技術士」に求められるような内容になっていないと口頭試験でマイナスの印象から始まってしまいます。

試験を申し込むときに受験資格の有無を確認しているだけという意識で準備すると口頭試験で困ってしまいます。

これは知っているか知っていないかだけなので知っていると損をしないのでぜひ知っておいてください。

実際に使用した教材・参考にしたHP等

喜び

技術士試験対策に実際に私が使用したものを紹介します。

結果が出ていないので参考程度にとどめていただけると良いかと思います。

有料サービス

「アガルート」

有料サービスは結構色々探しましたが正直金銭的な理由でアガルートさんにしました。

技術士は有象無象の採点サービスが数多く存在します。

大手のサービスもありますが、アガルートさんは大手でありながら技術士はまだ始まったばかりで合格すれば全額返金制度があり、かなり決め手になりました。

私が考える必須条件として採点があることです。

アガルートさんは5回の採点が標準で、チャット形式で質問し放題のサービスです。

採点が返ってくるのが早く、評価とアドバイスを返してくれます。

私がこれがあればもっと良いのにと思う点はどうすればA評価になるかを具体的に教えてほしかったです。

テキストもついていますが、正直書籍やHPで勉強した方が良いと思います。

参考にしたHP等

私の基準は論文に対する回答の方法や記述の方法論が書いていること、A評価の論文が読めることを重視して探していました。

SUKIYAKI塾さん

恐らく一番有名なHPです。A評価論文も豊富です。

スマート技術員さん

A評価論文の中でも結構新しめのものがありました。

横浜すばるさん

Youtube

一番参考にしました。

問題に対するアプローチと考え方が私に一番近かったです。

来年は事情があって物理的に受験できないので再来年受けるとしたら採点の第一候補です。

高めるむくちゃんさん

Youtube

馬の被り物が面白いです。

Youtubeの内容は本当に有料級だと思います。

このYoutubeだけで合格できる人もいると思います。

使用した書籍

「技術士第二次試験建設部門合格指南」

恐らく一番有名な参考書です。

書き方とA評価論文を参考にさせてもらいました。

これだけでも受かる人はいると思います。


まとめ

技術士資格取得に向けて特に二次試験の筆記試験の勉強法を書きました。

私自身合格できていないので説得力は小さいと思いますが参考になればと思います。

技術士試験はどんな回答を書けばよいのか、という点についてかなり考えないといけない試験です。

書籍やスクールなどもありますが書く内容は自分自身のバックグラウンドから出てくるものですし、問題の題材は毎回異なるので応用力が試されます。

普段の自分の生き方が試されるような試験ともいえると思います。

つい熱が入って色々書きましたが重要なのは合格ラインを知り、それを回答に落とし込めるように準備することです。

技術士の勉強は間違った方向に走りがちなので自分でしっかり考えて正しく努力をして合格を一緒に勝ち取りましょう!

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