【現役ゼネコン設計者が教える】鉄筋コンクリート造(RC造)の特徴

rc 構造設計

建物の構造は大きく三種類に分けられます。

鉄骨造と今回紹介する鉄筋コンクリート造と木造です。

前回は鉄骨造について書きました。

我々ゼネコンが扱うような建物はほとんどが鉄骨造か鉄筋コンクリート造です。

ゼネコン設計者の目線で鉄筋コンクリート造の特徴を説明していきたいと思います。

鉄筋コンクリートって何でできている?

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鉄筋コンクリートは何でできているでしょうか。

名前の通り鉄筋+コンクリートです。

別名RC造とも言いますが、これは英語でReinforced Concreteというためです。

意味は補強されたコンクリートという意味です。

この記事でもRC造の方が簡単なのでRC造と呼ぶことにします。

材料の話に戻ります。

鉄筋は鋼を棒状に加工したものです。

太さは10mm~51mmくらいです。

コンクリートと一体化しやすいように節がついています。

コンクリートはいろいろなものを混ぜ合わせて出来ています。

セメント、水、石、砂利が混ざってできています。

コンクリートの特性によっては薬剤を混ぜることもあります。

鉄筋を所定の位置に動かないように固定してコンクリートが思い通りの形になるように型枠という木でできた枠の中にコンクリートを流し込んで固まったら完成です。

1,2週間で強度は出ますが最終的な強度に達するまでは約一ヶ月かかります。

鉄筋コンクリート造のメリット

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ゼネコン設計者の視点なので鉄骨造と比較してのメリットが多いです。

防音、防振、耐火性能が高い

コンクリートは柱や梁、壁などを作るときも空洞がありません。

鉄骨だとHの形に加工したり、□でも外側だけで、中央部分は空洞であることが多いです。

それに対してコンクリートは中まで詰まっているので音や振動が伝わりにくく、静かな空間が作りやすいです。

同じ理由で火にも強いです。

体積があるので温度が上がるのに時間がかかるため、火への抵抗力が強いです。

圧縮力が高い

コンクリートは圧縮耐力が強いです。

1m3あたりの体力は鉄骨の方が大きいですが、上でも書いたようにコンクリートは空洞がないので同じサイズだと結果的にコンクリートの方が圧縮耐力が大きくなることがほとんどです。

一方で引っ張り耐力は圧縮耐力の1/10程度です。

それを補強するために鉄筋を入れて、引っ張り力を負担させています。

また、コンクリートと鉄筋は熱膨張率がほぼ同じなので、温度が変化しても同じように伸び縮みしてくれるので有害な現象が起きません。

熱膨張率が違うと元々一体化していたものにどんどん隙間ができてきて材料同士が別々になってきちんと機能しなくなってしまいます。

この意味でもコンクリートを鉄筋で補強するというのはとても合理的です。

鉄筋コンクリート造のデメリット

やはりデメリットはメリットの裏返しです。

重い

コンクリートは空洞がない分体積が大きくなるので重くなります。

重いことは防音防振性能が良いというメリットにもつながるのですが、日本は地震国なので、地震の時に建物にかかる力が大きくなります。

結果的に重ければ重いほど地震力に対抗する要素を多く入れなくてはいけなくなります。

また重量が重いと杭などの基礎にも負担が大きくなります。

大きなスパンが飛ばせない

RC造は重いので柱同士のスパンも短くなります。

だいたい7,8mくらいが標準的です。

10数m飛ばしたいとなると何らかの工夫が必要となります。

平面的に鉄骨造の建物に比べて柱の数が多くなります。

脆性的な破壊(壊れ始めると一気に壊れる現象)になりやすい

すでに書いたようにコンクリートは引っ張り力に弱いです。

どうしても引っ張り力がかかって材料の耐力を超えると一気に壊れてしまいます。

理想的には耐力が一定のまま建物が変形し続けて人が逃げる時間を稼いでくれたり、建物が崩れずにいてくれれば良いのですが、RC造の場合は耐力は大きい代わりにその耐力を超えてしまうと一気に崩れてしまう建物も多いです。

形が自由自在

コンクリートは型枠に流し込んで作るので、型枠が作れればどんな形にもできます。

もちろん作り方の工夫やひび割れ対策等必要な措置は取らなくてはいけないですが、基本的にどんな形にも加工することができます。

RC造はどんな建物に向いている?

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RC造は音や振動が気になって、それほど大きな空間が必要ない建物に向いています。

具体的には集合住宅やホテル、病院、学校などです。

特に集合住宅はほとんどがRC造です。

ホテルもRC造が多いです。

病院と学校はRC造も鉄骨造もどちらもあり得ます。

特に人が寝る空間を作るのに優れていると言えます。

まとめ

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RC造の特徴をわかっていただけたでしょうか。

コンクリートや鉄の歴史は比較的浅く、せいぜい150年くらいです。

それまでは日本では木のみでヨーロッパでは石でした。

日本でも明治大正あたりにレンガが取り入れられたこともありますが、関東大震災でレンガは地震に弱いことが分かってしまい、そこからは使われなくなりました。

ヨーロッパは地震が少なく、パワーも弱いので石やレンガでもなりったっていました。

そのおかげで日本ではありえないような何千年も前の建物が残っていたりします。

どれが良い悪いというよりは向き不向きをよく理解して得意な場面に応じて使い分けてあげるのが一番だと思います。

建物の構造はたいてい隠されていますが、こういった特徴を理解していると柱の大きさやスパンで何となく予想ができるようになります。

みなさんもぜひどんな構造か予想してみてみるのも楽しいと思います。

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