私は某ゼネコンで構造設計をしています。
そんな私が一般的に認知度が低いであろう構造設計という仕事について一体何をしているのか簡単に説明したいと思います。
そもそもゼネコンって何ですか?とか構造設計って全くピンときませんっていう方もたくさんいると思います。
ゼネコンについての記事も書いていますので気になる方はチェックしてみてください!
今回は構造設計って言葉は聞いたことがあって、何となく何をやってそうか想像はつくけど実際のところどうなの?っていう方向けになります。
具体的には構造設計にちょっと興味がある建築系の学生さんとか仕事柄設計者と関わりがあるけど、構造設計ってい人たちが何をしているかいまいちわかりませんっという方向けかなと思います。
構造設計って何をする人?
簡潔に言うと構造設計は「建物の骨組みにお客さんの要求する性能を持たせること」です。
まず、「建物の骨組み」を具体的にいうと、柱、梁、壁、床とかです。
厳密に言うと細かい分類はありますが、これぐらいのイメージでいいです。
鉄骨とか鉄筋とかコンクリートとか聞いたことがあると思いますが、これは建物の材料です。建物の計画に一番合っている材料を選びます。
最近は木造も注目を浴びています。
持続可能とか環境負荷低減とかいった面が強く、純粋には鉄骨やコンクリートに対して劣る部分が多く、個人的には流行りの域をまだ出ていないなと感じています。
今後材料として改良されたりコストが下がってきたりしない限りは更なる普及は難しいと思います。
次に「お客さんの要求する性能」ですが、日本に限ってい言えばほとんど地震に対する性能、つまり耐震性能と予算にあっているかどうかという2点になります。
予算は建物全体の話になります。
耐震性能は最低基準が建築基準法という法律で決められています。
具体的には大体の目安ですが、震度5弱ぐらいの地震に対して建物に損傷がないこと、震度6弱~強の地震に対して建物は損傷するけど倒壊せず、人命を守れるようにするというのが耐震性能です。
よく1981年より後か先で建物の耐震性能が違うと言われますが、こういった基準が厳しくなった時なのでその前後で建物の最低基準が異なるためです。
つまり、できるだけ安く耐震性能が良い建物にするというのが構造設計者にざっくりと求められていることだと思ってもらえれば良いです。
中には建物を成立させること自体が難しい建物もありますが、それはかなり特殊なケースなので、ここでは話に入れません。
耐震性能ってどうやって設定するのですか?
構造設計をする人にとってここが難しいところであり、手腕が問われるところです。
まずはお客さんと目指す性能について合意をしなければならないのですが、ここが一番難しくて大切なところになります。
そもそもお客さんは建物に対して知識がないことがほとんどです。
もし皆さんが自分の家を建てたいと思ったときにどんな耐震性能の家にしたいですか?と聞かれてもばっちり答えられる人は皆無がと思います。
それくらいなじみがない状態で性能を説明して合意を得なければいけないのです。
なので先ほど説明したように震度〇〇で建物がどんな状態とか、過去にあった大地震が仮にあったとしたら建物はどんな状態になるかといった形で説明することが多いです。
もちろん耐震性能を上げればそれだけお金もかかるので予算とも相談することになります。
また、建物がどんなところかにも依存します。
例えば会社の本社とかデータセンターとか病院とか学校とか有事の時に建物が使えなくなったら困ってしまう建物は一般的にグレードを上げます。
一方、有事の際にはとりあえず周囲の避難所とかに避難できれば良いですというときは最低基準を守ってくれればいいですよとなります。
実際は建物の大部分が最低基準は守っていますという状態だと思います。
こういった色々な事情を加味して建物の性能を決めていきます。
目標とする性能が決まればそれを実現できるように建物の骨組みを計画して、実際に確かめるために構造計算をしていきます。
一般的に構造設計というと解析をしている人とか計算をしている人と思われがちです。
僕も実際に働き始める前はそう思っていました。
ですが解析とか計算は自分たちが計画した骨組みが目標とする性能を満たしているかどうかを確かめているだけなのです。
ここに技術とか工夫があって、それによって安くしたり、魅力的な建物にしたりといった設計者としての差が出てくるのも事実です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
途中で色々話が脱線したと思いますが、構造設計者の役割を簡単にではありますが説明してみました。
中々社会的な認知度が低いので、もっと皆さんに理解してもらえればと思って書いてみました。
そもそも建物ってどうやって出来ているの?というところもあって、設計の役割とか色々な業種の違いとかもっと説明しないといけないと思っている前提条件もあるので、おいおい書いていきたいと思っています!
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